私は「自分の為に」「他者の為に」勉強しているのかを心理学的に解説

前書き

私は人間のやる気・動機は「自分の為か」「他者の為か」どちらがより高いパフォーマンスを発揮できるのか、モチベーションは向上するのかについて悩んでいます。そこから自分の今の理想を導きだします。

アドラー心理学では「社会との関わりを増やし、共同体感覚を磨く」事で人間の幸福度も向上すると言われています。
melheaven.hatenadiary.jp

心理学論文をまとめた以下の本を読んでこの記事を書きました。
www.kongoshuppan.co.jp

結論

  • 人間のやる気・動機を「自分の為か」or「他者の為か」に大別する事は難しい。
  • 自己志向的動機と他者志向的動機の調和が大事

動機の分類

自己動機

  • 課題の楽しさ・関心・ 個性の発揮(プログラミング楽しいイィ)
  • 自分の意思・目標・憧れ・自己満足(ハッカーになりたいので勉強します)
  • 努力をすれば結果が得られる(競プロで勉強して結果が出た!)
  • 結果に伴う感情(ハッカソンで役に立てず悔しい)

他者動機

  • 応援してくれる人・戦友・コーチ・サポート(良い結果が出るとメンターさんが喜ぶ)
  • 他者からの評価・承認(あいつは凄いと評価される)
  • 他者への配慮(勉強しないと親に悪い気持ち)
  • 競争意識(あいつには負けたくない)
  • 社会意識(社会問題を解決したい)

上記のように自己動機と他者動機に大別します。

他者志向的動機

本書にて記載されている実験では、アジア系の子供に三つの課題を与えます。

  1. 自分が興味のある課題
  2. 三者が選択した課題
  3. 母親が選択した課題

アジア系の子供はこの三つのうち、従事時間は母親>自分>第三者となりました。第三者が低いのは、外発的動機づけであることが原因とされています。詳細は以下の記事です。
melheaven.hatenadiary.jp

では母親が選択した課題も外発的ではないか、と思ったのですがそうではないそうです。母親が選択した課題を解決することが、「母親の期待に応えたい」という気持ちから、「他者への配慮」からそれが達成への促進につながるようです。これを他者志向的動機と呼びます。

他者志向的動機は「挑戦・成功欲求」「社会貢献欲求」との正の相関があることも本書にて明らかにされています。

ただし・・・

ただし他者志向的動機が必ずしも良いという訳ではなく、過度な期待からパフォーマンスの低下や達成できなかった時の罪悪感が重圧となります。前回の記事でも述べましたが、「人のために頑張ること」が「見返りを期待すること」となると、報酬を期待しながら行動する原理となり、「アンダーマイニング現象」にも繋がります。

「アンダーマイニング現象」・・・「ご褒美を約束する事」が自発的に行動を促進させる意欲を低下させる

ただし人間の動機は自己志向的動機 or 他者志向的動機のいずれかに完璧に当てはまるほど単純ではありません。

自己志向的動機と他者志向的動機の統合

自己志向的動機と他者志向的動機は完全に大別されません。この二つは大きく絡み合っています。
人間の動機は常に自己志向的動機と他者志向的動機の間を揺れ動いてます。

  • 「自分が何かを達成する事でそれが結果的に他者のためになる場合」→ 自己志向から他者志向への還元
  • 「他者を喜ばせる事でそれがそれが自分に繋がる場合」→ 他者志向から自己志向への還元

スポーツ選手は「社会貢献活動を通じてそれをモチベーションにして自ら高い結果を出す行動」もしています。ボランティア活動では「他人貢献活動を通じて結果的に自分の居場所や自分のやりがい・満足感を得る現象」も存在します。スポーツ選手・ボランティア活動は後者ですね。

私の理想(あくまで個人的)

私の理想は前者の「個人の自己志向的活動でも社会と関わりを持つことによって、それが他者の為になる他者志向的動機に繋がる」です。

「最初の興味・好き」で〇〇を継続します。ここでの「自己志向的動機」は「〇〇への関心」「将来役立つから汎用的スキルだから」「自分が成長できるから」といった内発的動機となります。

〇〇を継続して行く中で、それが他者から重宝されたり、感謝されます。そうして社会との関わりを続けていく中で、それが「他者志向的動機」に繋がります。さらに他者の喜びを見れる・自分が求められていることへの「自己志向的動機」に繋がる好循環を生み出すことです。

理由

私は現時点で他者志向になるほど社会と密接に繋がっていませんでした。勿論、一部の学生には壮絶な経験や豊富な社会経験がある方もいらっしゃり、そういう方は他者志向的動機がかなり強いと思います。ただ私は目の前の好奇心に従って、生きてきたので目先にあるのは自己志向的動機です。

ただ自己志向的動機だけでは挫折した際に次なる行動へ向かう動機として弱いという事実を大学時代に知りました。だって私は飽き性でしたから。ただ自己志向的動機が他者志向的動機につながれば、強力な行動の促進剤にもなります。その為には社会・他者との関わりをさらに増やす必要があり、孤独から脱却することが求められます。

その為には、自分の個性を受け入れてくれる土壌探しが必要ですね。

まとめ

  • 自己志向的動機と他者志向的動機の大別で考えない
  • 私は「個人の自己志向的活動でも社会と関わりを持つことによって、それが他者の為になる他者志向的動機に繋がる」を目指す